ばたばたとしているうちに大晦日を迎えてしまった。 何となく紅白歌合戦を見ながら年を越す。 NHKの「ゆく年くる年」の小柴先生の受け答えは変だった。
家の掃除。買い物。 空気清浄機、DVD+ビデオも購入。 これでやっと輸入DVDが見られるようになった。 サイモン・シンの「暗号解読」(新潮社)も入手。
4時間かけてアンデルマンへ返事のメイルを書く。 年賀状の準備を少し。 夕方からICUの北原先生宅で忘年会。
アンデルマンから長いメイルがきて、そもそもこれまでのモデルが 間違っているのではないかという。 一応、私には私なりの考えがあるのだが、めちゃめちゃ気が重い。
集中講義は最終日で午前中のみ。 飯塚、天神、福岡空港を経由してスカイマークで無事に帰京。 途中で新宿のタワーレコーズに立ち寄り、
移動中にサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」を一気に 読み上げる。 自分が研究者であることが疑わしくなってくる。
集中講義、二日目。 朝から夕方まで。 終わった後はへろへろだが、ようやく先が見えてきた。
夜は九工大時代の友人宅を訪問させていただく。 暖かいもてなしを受けた。
集中講義、初日。 晩は学科の先生にステーキをご馳走していただく。
九工大での集中講義のために、午後から福岡県飯塚市へ移動。 羽田からの飛行機の出発が遅れて疲れる。 移動中はサイモン・シンの「フェルマーの最終定理」(新潮社)を 読みふける。 ホテルでは九州ローカルのテレビ番組が懐かしい。
年内に済ませておかなければいけない雑用を片付ける。 午後から教室協議会。 夜は家族でささやかなクリスマスイブ。
小津安二郎の「彼岸花」をビデオで観賞。 先日見た「秋刀魚の味」と内容がよく似ているので、少し退屈した。
風邪がすっきりしない。 物性研究の原稿執筆。
半分二日酔いのまま化学熱力学の講義へ。
一円玉が水面に浮くデモ実験に関して、その接触角を求めることを レポート課題にしていたら、ほとんどの学生が表面張力だけでは 重力を支えきれないと書いてある。 前野昌弘「微粒子から探る物性七変化」(講談社)にあった記述を そのまま信じた私がいけなかった。
気になったのでネット上で検索して、およその正解がわかった。 実は静水圧の方が表面張力よりも重要なのである。 ただし、液面が一円玉に接触している位置が少しおかしい気がする。 こちらも力作。 「砂糖水のかき氷」の件を思い出した。
午前中に大学院の講義。
午後は半日かけて部屋の大掃除。 気合は入りまくり。 夜は研究室の忘年会。 多大なダメージ。
物性研究の編集長からお叱りのメイルがくる。
なんやらかんやら。
風邪はひどくはならずに、なんとかブレーキがかかって いる感じ。
先週と今週は3年生のための研究室見学の期間になっており、 今日は私のいる研究室の担当である。 こうなるとやはりなるべくたくさんの学生に来てほしいと 思うものである。 実際には10人強がやって来た。
私の順番では簡単な紹介の後で、院生に各自のやっていることを 説明させたが、その彼らの方が見学の学生の笑いをとっていたので、 そうして良かったと思う反面、自分の話し方を反省させられる ことにもなった。
論文の投稿料の請求書が送られてきた。 最初に眺めた時はなんとなく「1万円程度だから大したことは ないな」と思っていたのだが、よくよく見てみると950ドル とはなんとその10倍以上ではありませんか。 年度末に向けて計画的に科研費を使うつもりだったのに、 一瞬にして崩壊してしまった。 その一方で、どうして論文誌が経済的に成り立っているのか わかった気がする。
先週もそうだったが、火曜日になると喉が痛くなって風邪を ひきそうになる。
午前中に研究室ゼミ。 午後は執筆中の論文をver.1として一旦形を整える。
ダイアナ・クラールのDVDは、非常に緻密に構成されていて感心した。 基本的にはパリで行われたライブをそのまま収録してあるのだが、 演奏者の表情を巧みにとらえたカメラアングルや、曲の流れに沿った 映像編集などがうまく組合わさって、こちらも思わず引き込まれてしまう。
ジェフ・ハミルトンとジョン・クレイトンは貫禄が出てきた。 ウッディ・アレン似のギタリストは動きがやや変。 欲を言えば、もう少し選曲に幅を持たせてほしかった。
家族で外出した帰りに明大前で降りて、私が大学に入学してから2年 ほどお世話になった下宿を20年ぶりに訪れた。 賄い付きの下宿で、大家のおばさんには文字通り母親代わりとして 生活を支えてもらった。
実際に大家さんご夫妻にお会いしてみると、ややお年は召されたが、 まだまだお元気そう。 何よりも私のことをはっきりと覚えていて下さっていたことが 嬉しかった。 昔一緒に下宿していた他の学生のその後について色々な話を 聞かせていただく。
明大前の駅まで歩きながら、「そう言えば、自分にも青春時代が あったのだなぁ」と少し感傷的な気分になった。
午前中に化学熱力学の講義。 今日も簡単なデモをやった。
水面に一円硬貨を浮かばせておいて、そこに液体洗剤を たらすと一円硬貨はぐらりと傾いて沈む。 はずだったが、実際はそうならなかった。 容器が大き過ぎたようだ。 このあたりが実際の加減を知らない理論家の弱さである。
洗剤を加えた水面に新たなな硬貨を浮かべることはできない ことを学生に体験させて、なんとか面目を保った。 はず。
昼から物理学会のプログラム編集会議のために浜松町へ。 久しぶりの編集作業にややとまどいながらも、もう一人の 世話人の方にしっかりとリードしていただいて無事終了。
その後、同じ会議に来ていた知り合い4人で食事をしようと 思って丸ビルを初めて訪れたが、レストランはどこもほとんど 満席であった。 まあ、空いていたとしても、メニューの値段を見ればお呼びで ないことは明らかであった。
丸ビルを出てから、東京駅に隣接するビアホールで冷めた唐揚げ を食べながら、13日の金曜日にふさわしいブラックな話題で 盛りあがる。
横浜市立大で今年度最後の集中講義。 久しぶりに長時間、電車に揺られて、金沢八景に到着。 午前と午後に一コマずつやって終了。
帰りに横浜のHMVで餌漁り。 思いがけずダイアナ・クラールのDVD "Live In Paris" (ビデオアーツミュージック)を入手。 ダイアナ・クラールには関心がなかったが、 リズム陣がジェフ・ハミルトンとジョン・クレイトンなので、 どうしても外せなくなった。
都内某所を訪問。 行く途中で新宿の東急ハンズに立ち寄り、講義で予定 しているデモ実験用の簡単な資材を調達する。 二種類の砂も買おうとしたが、どういう組合わせが適当か わからず結局断念。
久しぶりに都心に出たついでに、思いきって卓球のラケットの ラバーも新調した。 店員の説明を聞いていると、ここ10年程度で卓球用具も随分 進化したようだ。 さあ、どこでやらせてもらおうかしら。
喉が少し痛い。
午前中に論文を書いて、午後から客人。
夜に家で仕事をしながら、ブーレーズ先生指揮のマーラーの 交響曲9番を流していたのだが、とろけるようなアダージョが 終わった次に、マリーナ・ショーの思いくそ下品なダミ声を 聞いたら、やっぱり自分にはこの方が合っていると思った。
午前中に研究室ゼミ。
朝日新聞の夕刊に、山下洋輔がマル・ウォルドロンの追悼文 を載せている。 極めて真面目に書かれている文章の格調に高さに感動する。 マルを真剣に聴いたことがないことを恥じた。 一部を抜粋。
「演奏者自身の存在と切り離せない音の創造の大切さを、 生涯かけて伝えてくれたマル・ウォルドロンは、かけがえ のないジャズの大事な部分と共に去った。」
小平先生の「怠け数学者の記」の中で「New Math批判」という 文章を読む。 小学校の低学年生にまず集合論を教えるこの数学教育を、 私はドイツで受けた記憶がある。 確かに馬鹿らしい内容だった気がする。
娘に図書館で借りてきた山下洋輔の絵本「もけらもけら」と 「つきよのおんがくかい」(ともに福音館書店)を読んで聴かせる。
午前中に化学熱力学の講義。 佐々さんの口調が私にも移ってしまったようだ。 簡単なデモ実験を行ったのが意外と好評。
今週は2日にマル・ウォルドロンが、5日にボブ・バーグが それぞれ死去。 こうして邪頭は過去の音楽となっていくのだろうか。
午前中は大学院の講義。 学生のやる気のない目を見ていると、暗澹たる気分になる。 もっとも睡眠状態の彼らの目はすでに閉じていて、こちらからは 見えないという話もある。 日本の未来は大丈夫か?
午後は再び佐々さんの最後の講義に出席。 研究室の院生が昼食中に「佐々さんの講義に完全に洗脳 された」と言っていた。 真面目な話として、その院生は自然科学における問題設定の重要さを 認識したようで、それだけでも大きな教育効果があったと思う。 佐々さん、お疲れ様でした。
佐々さんの集中講義二日目に全日出席。 研究のモチベーションのスケールの大きさに感銘を受ける。 自然科学の発展の歴史に学ぶことは非常に良いことだと思う。 SSTのまとまった話を聞かせてもらい、大いに満足した。
しかし、佐々さんの本当の凄さを認識したのは、彼が昼飯時に (夕食ではない)一人だけ「講義で喉が乾いた」と言いながらビール を飲んでいた時であった。 午後からの講義のためのガソリンだそうだ。
午後から物理専攻で東大の佐々さんの集中講義に出席。 学外からもたくさん人が来ているようで、さすがに佐々さん の注目度は高い。 出席者が座りきれなくなったので、途中で大きな教室に移動した。
まだ序の口なのだろうが、とりあえず佐々ワールドを楽しませて もらった。 聞く者を圧倒的な迫力で引き込んでいく話術にも感心。 もちろん、内容があってのことなのだが。 色々な意味で勉強になった。
夜はホストの研究室の人達と佐々さんを囲んで中華料理。 どうも佐々さんは私のことをひねくれ者だと思っているらしい。 なぜだろう?
論文を修正したので、編集部への手紙を書く。 実は論文よりもこちらの方が神経を使う。 もうレフリーには論文がいかないと推測しているからだ。
今月末の九工大での集中講義の予定が、相手方の事情で急に 26〜28日に変更されることになった。 慌てて飛行機の予約を取り直す。 これで三年続けて学科の忘年会はパス。
午前中に研究室ゼミ。 昼に卒研配属の簡単なガイダンス。 午後は、腹を据えて論文を修正する。 とうとう、バージョン10まできてしまった。
最近はどうも精神的に安定していないと思う。 その理由を考えてみると、やはり果てしない「欲」 が原因である気がする。 「欲」は生きる活力でもあるが、人生の重荷でもある。 どうすればよいのかしら。 恐らく答えは簡単。 適度な「欲」を持てばよいのだ。 でもそれが難しい。 なぜならば、適度な「欲」は必ず不安定だからである。
一体、今日は何を書いているのだろう。 でも、このように不安定ということです。
天気が悪いので、気分も晴れない。 橋本の相模原図書館で娘の本を返却したり、 お歳暮の手配をしたり。 ちなみに先週、私が娘に借りさせた絵本は、山下洋輔の 「ドオン!」(福音館書店)である。 和太鼓集団の鼓童がモデルになっている。
小平邦彦の「怠け数学者の記」(岩波現代文庫)を読み始める。
2002年8月:
リーズ滞在篇
1998年12月〜2000年3月:
不安なイスラエル日記