邪頭的日記
2001年8月


8月31日(金)

自分の事を懲りない奴だと思う。 一年前、「物性研究」の「不安なイスラエル日記」ではかなり 苦労したのに、今度は同じ「物性研究」に「かき氷」の顛末を 書くことを引き受けてしまったのである。

早川編集長の説得手腕もさることながら、おだてられると ついほいほい乗ってしまう私の腰の軽さにも呆れてしまう。 年末にかけて、また苦しむことになりそうだ。

そうは言っても今回の件では、多くの人にお世話になった。 恩返しのつもりで書くことにしよう。


8月30日(木)

そもそも2ヶ月前、昼食の直後に健康診断に行ったのが 間違いであった。

その後の通知で血糖値が高いということになり、病院での糖尿病検査を 指示されたため、都内大学病院にて3週間前に初診で3時間待たされ、 1週間前には検査で4時間使い、今日は2時間待って検査の結果を聞いた。

結果は、やや怪しいものの、ほぼ正常ということであった。 そうでなくても貴重な夏休みの時間を水ぼうそうで潰して しまっただけに、この時間のロスは痛い。 などと偉そうに言っているのは、やはり検査の結果が良かった からである。


8月29日(水)

継続的論文いじり。

自分でも自分のハマり方が異常であると思う。 変だと思っても、ハマっているからどうしようもない。 すでにこの日記でも何度か書いている akiko の"Girl Talk"(Verve)のことである。

ディー・ディー・ブリッジウォーターとマリーナ・ショー の良い所を組み合わせたような歌手だ。 邪頭(ジャズ)さえ歌っていなければ、宇多田ヒカルやMisia など全く相手にならないと勝手に思っている。 (このあたりが異常。)

私がハマっている理由も分からないではないのだが、 もしも読者の中でakikoのことを知っている人がいれば、 是非感想を寄せて欲しい。 自分が変なのか、そうでないのかを確かめたいのだ。

ただし、何でもaikoという似て非なる(しかし、はるかにメジャーな) 芸能人が存在するようなので、混同のないように。


筒井先生の「玄笑地帯」(新潮文庫)、再読終了。 その中の「尾川君からの手紙」の尾川君は私と同年代と思われるが、 今頃どこで何をしているのだろう。


8月28日(火)

地元の高円寺では日曜日から「阿波踊り大会」が開かれている。 今日が最終日なので、大学帰りに家族と高円寺駅で待ち合わせて、 祭見物を企てる。

あいにく、開始時刻とほぼ同時に激しい風雨に見舞われ、何度か中断は あったものの、踊っている人達は皆一様にずぶ濡れで、ほとんどやけくそ 状態である。 (因みにその頃23区には警報が発令されていた。) 我々も単に雨宿りをしに行ったようなものである。

それでも、阿波踊りのリズムが「シャッフル」と類似してしていることを 発見したのは唯一の収穫であった。 ただし、裏拍の方にアクセントがあるからおちゃらけてしまうのだ。


8月27日(月)

ネット上の他人の研究日記を読んでいると、自分の研究が進んでいないことが 罪悪のように感じられ、多少なりとも気分が滅入ることがある。 一方、自分の研究がはかどると、自己顕示欲が働いて日記に書きたくなる。

日記の公開はそれなりの経験を積んできたつもりではあるが、何を書いて 何を書かないかはいまだに頭を痛める。 そのバランスは結局、書き手の美意識に委ねられている。 でもだからこそ、書く、書かない、読む、読まないで悩むところが ネット日記の面白いところなんだろう。

論文いじり。


8月26日(日)

Hamleyが書いた"Introduction to Soft Matter"という本には、 アイスクリームの電顕写真を載っている。 これを見ると、アイスクリームは氷、凍っていない砂糖水、空気の 三つの部分がごちゃ混ぜになったエマルションでることがはっきり分かる。

アイスクリームを作る時には、頻繁に撹拌して空気を取り込ませる ようにする。 その加減が滑らかさや舌ざわりを決めている。

単に砂糖水を凍らせた場合、アイスクリームほど空気は入らない だろうから、氷と濃い砂糖水の分散状態というのは正しいと思う。 「伊東家の食卓」で使われたアニメも悪くない。


8月25日(土)

自宅のパソコンのインターネット接続をフレッツ・ISDN に切り換える。

芥川龍之介の「薮の中」を読んで安心する。 映画「羅生門」では少し脚色されているが、確かに同じ内容だ。


8月24日(金)

高校生のためのオープンクラス 「一日体験化学教室・夢化学21」を分担。 参加した高校生の中には、わざわざ沖縄や香川からきている 子もいるという。 担当テーマは以前から続いている「ナイロンの合成」という、 私にとっても関心のもてる内容であった。

私のテーマをやった10人のうち、9人が女子高生であった というのは、特筆すべきことであろう。 昼食時などには、一体何を話すべきかで悩んでしまったが、 適当に携帯電話の話題などでごまかしておいた。

最初は無表情であった高校生も、実験が始まるとそれぞれ 個性や性格が出てくるので面白い。 要領の良い学生、一箇所で止まって誰にも相談しない学生、 飽きずに何度もやる学生、一回で満足してしまう学生など 実に様々である。

参加した高校生は少なくとも意欲という点においては、 かなりレベルが高いと思われる。 学生の向上心さえあれば、教官の疲労も吹き飛ぶ。


8月23日(木)

この日記の読者から、8月14日のかき氷に関する記述に関して、 質問のメイルを受ける。 マリンス・セカーカ不安定性の結果、氷が(二次元的な絵で)六角形になる というのはおかしいのではないかというご指摘である。 仮に六角形になるとしても、それは表面張力の異方性のせいだという。

全く正しい。でもこの方、

(もちろん、実際に六角形になるわけではない。) というところで言っているのは 「六角形になるわけではないがマリンス・セカーカ不安定性が起こる。 六角形にしたのは、 アニメーションの都合」 という意味だと思えば良いのでしょうか?

と、ちゃんと私の意図を理解してくれているのだ。

少し補足すると、当初、番組側が用意したアニメでは、氷が球(丸) のままどんどん成長していくようになっていたので、「そうはなりませんよ」 と伝えた。 もちろんマリンス・セカーカ不安定性では形状の予測はできないので、 六角形になると言ったはずはないのだが、 番組を見たらそうなっていたということである。 番組側は勝手に雪の結晶をイメージしたと思われるが、まあ、許される 範囲であろう。

その後のメイルのやりとりで、メイルの送り主は結晶成長の専門家で あることが分かった。 怖いなぁ。


8月22日(水)

お盆に送られてきたヴァイクルとの共著論文を最終チェック。 コメントをまとめて、もう一人の共著者であるアンデルマンに送る。

台風襲来ということで少し早めに帰宅したが、 何のことはない、自宅付近に着いた時には晴れてきた。


8月21日(火)

久しぶりの大学で、仕事はどっさり。

早速、「伊東家を見ましたよ」などと事務室で声をかけられる。 学生も、明らかに普段と違って緊張していた、などと言って冷やかす。

来月の徳島での物理学会に行かねばならなくなった。 旅行の手配をするが、宿の確保で苦労する。


8月20日(月)

朝一番に病院へ行き、医者に外出の許可をもらう。 どうしても今日から仕事に出たかったので、少しでも肌をきれいに 見せようと、ここ数日せっせとビタミン剤を飲んでいたのが功を奏した のだろう。 実は、熱が下がった時点で感染力もなくなるということなので、 先週の木曜日以降はもう大丈夫だったのだ。

ということで、都内某所で開かれたある研究会に出席する。 気心の知れた人達と久しぶりに話をすることができて、 精神的にもようやく幽閉生活から抜け出ることができた。


8月19日(日)

今日の朝日新聞には筒井先生の「トークエッセイ」 が載っている。 話題は先生の近著の「わかもとの知恵」(金の星社)についてである。

実はこの本、愚娘が大変気に入っていて、最近、寝る前には 必ずその中の「知恵」を4、5個読まされている。 すると満足して寝る。

余程強烈にインプットされているようで、「強力わかもと」の新聞広告を 見つけると異様に興奮するという有様である。 末恐ろしいような、嬉しいような。


8月18日(土)

体調はほぼ整ってきた。 来週の頭からは完全復帰したいので、月曜日の朝に 医者に御墨付きもらう予定だ。

先日、黒澤明の「羅生門」を見た。 間抜けなことに、この映画の原作は芥川龍之介の「羅生門」ではなく「藪の中」 であることを今日知った。 ところで、同じくそのことを知らなかった同居人は、映画を見た直後から黒澤の 「羅生門」と芥川の「羅生門」は、ストーリーは違うが描いているテーマは同じだ と主張していたことをばらしてしまおう。 さすがに私の同居人だけのことはある。 そう、文学のテーマはただ一つなのだ。


8月17日(金)

私が水ぼうそうで調子を崩している間に、ふと、父親として娘に まだ何も夏休みらしいことをしていないことに気付いた。 そこで、先日の「伊東家の食卓」で紹介されていた、 強力粉を使った粘土のようなものを作ってやることにした。 私自身も、ソフトマテリアルの一例として関心があったのである。

大失敗である。 決められた分量で強力粉と水を混ぜたのに、全体の形がまとまらず、 ずるずるのヨーグルト状のものしかできない。 二度試みたが、同じ様にダメであった。 結局、収拾がつかなくなり諦めたが、その後、洗面台の掃除に苦労 したのは言うまでもない。

かくして、娘に私の存在意義を示すことができなかったばかりか、 妻には後期の化学実験が大丈夫なのかと指摘される有様であった。


8月14日の「伊東家の食卓」の視聴率は21%であった。


8月16日(木)

抗ウイルス剤の服用は今日で終わりだが、皮膚の快復は明らかに 娘よりも遅い。 ようやく仕事を再開してみたものの、今一つ調子が出ない。

自宅で仕事をしていると、どうしてもインーターネットの 常時接続をしたくなり、時代遅れとは思いつつ、 フレッツ・ISDNに切り換えることにした。 電話料金明細書を見て、今までの使い方でも フレッツ・ISDNの方が得であることが分かったからだ。

マジッド・マジディ監督の「太陽は、ぼくの瞳」という 1999年のイラン映画を鑑賞。


8月15日(水)

かゆみも熱も収まった。 あとは水疱が早くかさぶたになってくれるのを祈るばかりだ。 この暑いのに、風呂できちんと体を洗えないのが気持ち悪い。

8月4日の日記で褒めた女性ボーカルの akikoは、 もちろん矢野顕子ではないし、ましてや和田アキ子でもない。 この人、技術的にはまだ荒削りな部分もあるが、とにかくセンス が良いので、将来メジャーになることは間違いないと思われる。 メジャーになるとロクなことはないので、今のうちにライブなどで 視聴しておくことをお薦めする。


8月14日(火) [「伊東家の食卓」放送日]

発疹はほぼ出つくしたようで、かさぶたに変わったものと 水疱状のものが混在している。 熱も下がったので体は楽になったが、仕事をする気力はまだない。

米谷ふみ子の「過越しの祭」(新潮文庫)をさらさらと読む。 第94回芥川賞受賞作であるが、読んでいる途中で段々と 不愉快になってきた。 ユダヤ文化に対する執拗な罵倒が繰り返され、いくら「あとがき」で 自分が反ユダヤ主義ではないと主張しても「後の祭」である。

食後、ビデオ録画をセットして、やや緊張しながら、テレビの前で 「伊東家の食卓」が始まるの待つ。 私自身、無意識のうちに、「かき氷ネタ」を応援していたようである。 「暑い車内を一発で涼しくする裏ワザ」で、「お、これはなかなか」 と思い、少しもっていかれた気がする。 しかし、その後の「スイカの種を取る裏ワザ」で、「これならいける」 と妙な自信をもってしまった。 (最終的に、車を冷やす方法がNo.1をゲット。)

誰でも自分の映像を見るのは気恥ずかしいものであるが、 想像していたほどの違和感はなかった。 その代わり、やたらと興奮していたのが、うちの愚娘である。 研究室での収録であったが、実際ほど雑然とは映っていなかった のは幸いであった。

説明のアニメで氷が成長して六角形になっていたのは、 私が「マリンス・セカーカ不安定性」を考慮するようアドバイス したからであるが、気付いた人はいますか? (もちろん、実際に六角形になるわけではない。)

これまで様々な筋で協力していただいた方々に、 改めて感謝の意を表したい。


8月13日(月) [「伊東家の食卓」放送前日]

ひぇ〜、か、かゆくて、気持ちわり〜よ〜。

黒澤明の「まあだだよ」をビデオで鑑賞。


8月12日(日)

不調の原因は、ずばり、「水ぼうそう」でした。

蚊の飛ぶ音で未明に目を覚ました同居人は、私の顔に赤い湿疹が できているのを発見する。 慌てて体も調べてみると、背中や胸にも発疹が広がっている。 今思えば、娘が水ぼうそうを患った時点で私も感染し、 2週間の潜伏期間を経て見事に発症したわけである。

早速、病院に行き、最近開発された水ぼうそう用の抗ウイルス剤 を処方してもらう。 (これはウイルスに効く唯一の薬らしい。) 結果的に予防注射で感染は防げなかったわけだが、それだけ 症状が軽くて済むだろうと医者に言われた。

かくして、お盆は幽閉の身となった。


8月11日(土)

微熱が続き、体がだるい。 でも風邪の典型的症状はない。 単なる疲労にしては熱の出かたがおかしい。

この不調の理由は明日の日記で明らかになる。 ただし、この日記の継続的読者はすでにお分かりかもしれない。


8月10日(金)

学振の日。

夏バテのせいか、足腰の関節がだるく、微熱もあるようだ。 それでも学振の「外国人招へい」の締め切りが近づいているので、 ごそごそと準備する。

そんなことをしていたら、春に学振に応募していた特定国派遣(短期)の 採用通知が来る。 ということで、来年の夏はイギリスに行きます。


8月9日(木)

お盆前に済ませなければいけないことが山積みなのに、 本当にまずいですよね、筒井先生。 今度は「わかもとの知恵」(金の星社)などという怪しげな 本を出版されたようで、早速書店で見かけましたよ。 見つけたら、当然買うわけです。 買ったら読むしかないのです。


8月8日(水)

キュリー研究所のフランク・ユーリヒャーと10年振りに会う。 午前中にに早稲田大学のゲストハウスに迎えに行き、その足で都立大へ。 昼食を済ませて、15時からセミナーをしてもらい、夜は西新宿で食事。

10年前の彼はリポスキーのもとでドクターを始める直前の初々しい学生で、 その時を思い出すと、驚くほど貫禄がついた。 フランスでCNRSのポジションも取得し、まさに前途洋々である。 フランスではド・ジャンが1年以内に引退し、後任にはプロー、 プローの後任はジョアニーが予定されているなどの裏話も興味深かった。

夕食後、二人で歌舞伎町界隈を徘徊する(ただし、路上のみ)。 以前、アンデルマンもラブホテルに異様な関心を示したが、ユーリヒャー も同じ。 東京にはこれといった観光地がなくて、外国人のお客さんが来るといつも 困るのだが、ラブホテル街は意外と使えそうだ。

ただし、洒落の分かる人でなければいけない。 また、ラブホテルから出てきたばっかりのカップルと鉢合わせなっても、 決しておどおどしてはいけない。 もっとも、外人男性と二人でラブホテル街を歩いている我々の方が 怪しいのかもしれない。


8月7日(火)

今月号の「論座」では「見直し待ったなし 新学習指導要領」 という特集が組まれている。 普段ならばあまり注意を払わないのだが、この特集では 大学院時代の我が師匠である伊豆山先生(現開成中学・高校校長) も寄稿しているので、初めてこの雑誌を買ってみた。

伊豆山先生の主張のポイントは、学習指導要領がどうあろうと、 私学の入試問題に対する規制がなければ、大きな問題はないという ことだ。 学習指導要領はあくまでも最低基準を示したもの、ということを 額面通りに素直に受け止めればよいそうだ。 その意味でも、私学が教育の自由化のために重要な役割を担って いるという主張をされている。

極端な例として、中学入試で「フェルマーの定理を証明せよ」 というような「愚かな」状況があってもよいという。 また、新指導要領では、ある数を1/3で割るのはよいが、 2/3で割るのはいけないらしい。 しかし、伊豆山先生の意見としては、後者もまず2で割ってから 1/3で割ればよいので問題ないそうだ。

学生時代から、数々の場面で常人の及ばざる先生 であることを感じていたが、今回もその認識を新たにした。


有馬先生も文章を載せているが、判断の基準がヨーロッパや アメリカの教育内容と比較して遜色がなければよいという点が 納得できない。 そもそも日本独自の教育目標があるべきで、その結果として、 諸外国と比較した授業時間が倍になろうと半分になろうと構わない。

この特集を読んだ人の意見を聞きたい。


8月6日(月)

先週、私が京都に出張中、研究室の学生が私の予定を把握して おらず、留守中の訪問者の対応に困ったため、今後は私の予定を 予め出張前にボードに書き残しておいてくれと頼まれた。

いやである。 いるかもしれないし、いないかもしれないのが良いのだ。

困った学生はなぜかこの日記を見るはめになるらしいが、 もちろん、未来のことは分からない。 なおさら予定を書き残すことはやめよう。


8月5日(日)

午後、同居人の学生時代の友人(女性)の下宿を訪問する。 こちらは親子連れではあるが、やはり独身女性の一人住まい に足を踏み入れるのは少々勇気がいる。 見てはいけないものが眼に入ってはまずいので、そばにあった 前日の新聞を読むふりをして赤くなった顔を覆っていた。

などと書いている私を信用してはならない。


8月4日(土)

最近、綾戸智絵の名前をあちこちで耳にするので、 先週、娘のビデオと一緒にCD"Natural"(EWCD)も一枚借りていた。 実際に聴いてみると、なんだかやたらとおどろおどろしくて、 どの曲も同じように聞こえてしまう。 1、2曲ならば良いが、全部聴くと単調なドイツ料理を食べ過ぎて 胸焼けを起こしたような気分になる。

それに比べると、最近Verveからデビューしたakikoの"Girl Talk"は かなりいいぞ。 節回し、フレーズやリズムの崩し方、選曲、アレンジはなかなか モダンで、線も結構太く、申し分のない出来だ。 やっぱり女性ジャズボーカルは、男の方からにお近づきになりたいと 思わせなきゃね。 ボーカル界の「女イチロー」を期待する。


8月3日(金)

会議は続くよ、いつまでも。


夜、同居人が見ていたNHK教育の料理番組で、 アイスクリームとかき氷の特集をしていた。 そこでなんと、プロが「ふわふわかき氷の作り方」 を指南するというので、○○家も放映10日前に してついに先んじられたかと思い、テレビの前に釘付けになった。

しかし、内容はいかに透明な氷(純氷という)を作るかという ことであった。 そのために、まず水を沸騰させて不純物を除き、 さらにできる限りゆっくりと冷却させるために、水の入った容器を 発砲スチロールや布で包んでから冷凍庫で凍らせる。

そうやってできた氷は、確かに普通に作る氷よりも透明である。 次のその氷を水で濡らし、それからかき氷器に入れると氷と刃 が密着し、かんなで木を削ったようなふわふわの氷ができるという ことである。

私はますます分からなくなった。 透明な氷ということは、完全な結晶が成長していると 考えられる。 そうであれば、透明な氷自身は相当固いはずである。 するとかき氷が「ふわふわ」しているというのは、もっぱら 氷の削り方に依存しているのだ。

すでに収録を終えている私は、実は大嘘を言ってしまった のかも知れない。


8月2日(木)

まったくもう、面白いったらありゃしないよね、 筒井先生の「天狗の落し文」(新潮社)。 でも今、絶望的に悲しいのは、 はやる心を押さえてゆっくり味わっていたのに、 京都までの往復の新幹線で全部読み終えちゃったこと。 これからどうしよう。


8月1日(水)

京都市郊外のとある超高級料亭にて、国際的重要人物 (自称、物理学者)と密会し、政治的経済的学問的特別 最高機密情報を入手する。 これからは常に身の安全にも注意を払わねばならない。


過去の日記:
2001年 7月 6月 5月 4月 3月 2月

1998年12月〜2000年3月: 不安なイスラエル日記


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