午前中に講義があったので、朝いそいそと出勤。 ところが、三連休で生活のリズムが崩れたのか、どうも体が重く 気分もすっきりしない。 大学が遠く感じられる。(実際に遠い。) おまけに昨日より咳がひどくなり、先週からの風邪も治っていない ようだ。 こんな調子なので講義の雰囲気も今一つ盛り上がらなかった。
サフランの教科書(原著)はペーパーバック版が出版されるそうだ。 新版ではないので大幅な改訂はできないそうだが、すでに 見つかっている大きなミスを修正するには良い機会だ。 翻訳版で行った修正に関して、サフランからいくつか問い合わせ を受ける。
ゴールデンウィーク前半は特にこれといった企画もなく、 家族で新宿や高田馬場に出かけた程度である。 風邪がすっきりと治らずに、ぐずぐずしていたのもよくなかった。
唯一の収穫は中古CD屋でブランフォード・マルサリスの "Random Abstract"(Columbia)を掘り出したくらいだろうか? 今となってはもうケニー・カークランドの生演奏を聴くことが できないのが残念である。
新聞を広げていると文科省が選定した「スーパー サイエンスハイスクール」の記事が目にとまる。 まず、日本国内の制度にどうしてこんな名前をつけるのか 理解し難い。 しかし、内容は名前にもましてさらに変だ。
「1年後期から理系全員が理科全科目を履修」、 「国際的科学者として必要な英語力も育成」、 「新科目「生涯科学」を開設」、 「「サイエンスX」といった科目を開発」、 「普通科もスーパーサイエンス化」などと、 実際に採用された高校には大変失礼だが、並べれば並べるほど つい笑ってしまうのだ。 (「スーパーサイエンス化」とはなんだろう?)
まあ、指定校には年間2500万円の助成があるというので、 高校側も一生懸命考えたのだとは思うが、これが果たして本当の エリート教育といえるのか甚だ疑問である。 サイエンスのエリート教育は個人単位で行わないと意味が ないのではなかろうか。
シャットダウン。
研究室の新しいスタッフが、研究室内専用の掲示板を 立ち上げてくれた。 メイルよりは開放的だが、ホームページよりは閉鎖的 というバランスが私にとっては新鮮である。
早速、広島風お好み焼きがどうのこうのとういう話題が 飛び交っている。 現実逃避の手段がまた一つ増えてしまった。
論文が一つacceptされる。
理学研究科内のある委員会の今年最初の集まりがあり、 研究科長の一声で私は委員長になってしまった。 委員会後、広報委員長と話し合い、理学研究科のホーム ページのサポート体制を確認し合った。
夕方、物理科に滞在中のLai氏と議論。 先週聞いたセミナーの内容についていくつか質問する。 風邪のひき始めか、朝からあまり気分がすぐれない。
午前中、一般化学の講義。
4月21日の日記に書いた「クラシカル・クロスオーバー全批判」 に対して、ある人からお叱りのメイルを頂く。 まあ、あの日記を書きながら、そんなこともあるかなと半分予想 はしていたのだが、やはり打てば響くような反応は嬉しい。
本当はその後のメイルのやり取りをこの日記に載せたいのだが、 相手の了解がまだないので、現時点ではやめておきます。 でも、この話題、これからも続くでしょう。
注文してあったパソコンが届く。 直ちにXPを消去して、Vine Linux ver.2.5をインストールする。
午前中、化学熱力学の講義。 ようやく軌道に乗ってきた。
もちろん後で分かったことだが、最近流行している「クレズ」 というコンピュータ・ウイルスにやられた。 このウイルスは知人のメイルアドレスから発信されたように 装っているところが曲者で、つい不注意な扱いをしてしまった。
知人から(のように見える)メイルアドレスに混じって、その著作や テレビ出演などで有名なお茶大の数学の教授(もちろん面識はない) からもウイルスメイルが届いていた。 一体どういうことだろう。
皆さんもご注意あれ。
研究室ゼミ。
シルビィ・バルタンねたをもう一つ。 先週見つけたシルビィ・バルタンのCDは、レジカウンターに 山積みされていたし、先日は研究室の学生にそのCDを貸してくれ と言われるので、一体どういうことだろうと思っていたら、 その学生の話によると「あなたのとりこ」(30年以上前の曲!) が最近コマーシャル・ソングで使われいるのね。 昨日の日記に続けて言えば、良いポップスはきちんと残るのである。
このところはまっていた論文の手直しを一旦終了させる。
何気なくNHK教育の芸術劇場を見ていたら、最近は クラシカル・クロスオーバーというジャンルの音楽が人気を 集めているらしい。 その代表として、イギリス発の bondと いう美女(どうもこれが重要らしい)四人による弦楽グループが紹介されていた。 ここでは敢えてはっきりと書くが、この手の音楽はダメである。 絶対に残らない。
番組内の説明にもあったように、これまでジャズやロックの演奏家が クラシックの題材にアプローチすることはしばしばあった。 もちろん、ほとんどうまくいかないのだが、こういうのは 本質的にクラシックに対するコンプレックスに由来するものだから、 私はまだいいと思う。
一方、クラシカル・クロスオーバーには、「ポップスもできちゃうのよ」 といった感じの優越感が見え隠れしているのが気に入らない。 ポップスをなめてはいかんよ。
午後から化学科の三名の新任教官によるセミナー。 その後、夕方から生協にて新入生歓迎コンパ。 新入生の集まりがやや悪かったのは残念だが、もっと 参加者がいたら料理が足りなかったかもしれない。 幹事としては、赤字にならずに済んだので一安心である。
学生と話していて驚いたのは、私が下宿している アパートの真下の部屋の住人が化学科の大学院生である ということ。 しかもまずいのは、私はその学生を知らないのに、彼は 私が上に住んでいることを私の自転車で確認していること。 こわいなあ。
その他でも学生に「日記を読んでいます」などと言われると、 つい「そんなことしなくてもいいよ」と答えてしまうのだが、 よく考えたらお礼をいうべきなのだろう。
以前にあるグループのあるプレプリントを入手していて、 それはそれはかなりひどい論文だったのだが、 最近になってどこに掲載されたかを調べていたら、 こちらが予想だにしなかったPRLであることが判明し、 びっくりする前に笑ってしまったほどである。
まあ、議論の部分はプレプリントからはかなり修正 されてはいたが、実体はほとんどそのままである。 逆に言えば、議論を適当に変えることができるような レベルなのである。 しかし、こういう論文がPRLに掲載されてしまって 本当に困るのは彼ら自身ではなかろうか。
Lai氏のセミナー。
大槻ケンヂの「行きそで行かないとこへ行こう」(新潮文庫)、終了。
化学科以外の理学部1年生を対象とした講義の初回。 内容は量子化学(量子力学)の初歩。 物理学科の学生と、高校で物理を履修していない生物学科の学生 の両方を満足させるのは至難の技だが、あまり深く考えないこと にしよう。 私自身が楽しめる講義をするのが、なんとなく一番よい気がする。
Vine Linux 2.5(正式版)をインストール。 上々。
大学の帰りに、シャンソン・イエ・イエのシルヴィ・バルタン・ベスト (BMG)というCDを見つけて大喜び。 小学生の頃、家のレコードで「アイドルを探せ」や「ジョニーはどこに」 などを繰り返し聴いた。 今の日常生活が吹き飛ぶ懐かしさ。
今年度最初の化学熱力学の講義。 初回の講義ではいつもそうであるが、お互いに相手の様子の 探り合いである。 学生の緊張感がまだあるうちに、少しでも興味を引きつけることが できればこちらの勝ち。
また、昨年度の講義は一巡目ということもあり、どうしても学生 の求めるものからずれてしまう部分が多々あった。 その意味でも、今年は軌道修正の年である。
果たして実際のできはどうであったろうか? まあ、授業の後に学生が質問に来たというだけでも、 少しは進歩しているのかもしれない。
論文を最投稿。
今朝は電車の乗り継ぎが最悪で、大学までたどり着くのに 2時間近くかかってしまった。 京王線の青葉台止まりは使えない。 月曜の朝からばてばてである。
待望のVine Linux 2.5(正式版)が本日リリースされる。 どのFTPサーバーも混雑していて、なかなかダウンロードできない。
午後、来客。 有益な議論ができて満足。
仕事で疲れた晩は、寝床で大槻ケンヂの「行きそで行かないとこへ 行こう」(新潮文庫)を読むのがよろしい。 力が抜けてリラックスできる。
最近は日記につい気の利いたことを書こうという意識がはたらいて よくない。 初心に戻って、他愛のないことを堂々と書くことにする。
天気は良かったが、娘が風邪気味なので外出は控える。 夕方に娘と昼寝。
今年度は化学科のカリキュラム委員を担当している。 その仕事の一つとして化学科の構成員表を作成することになり、 初めてExcelと格闘する。 だいたいはうまくできたが、どうしても解決できない不条理な 問題が残り、気分がすっきりしない。
家族で車に乗っている時に発覚した娘のある認識。 彼女によると、道路標識で直進を指示する上向きの 矢印(↑)は、車に「竹コプター」をつけて上昇する ことを意味するそうだ。
午前中は論文に少し手を入れて、午後から生産研の田中研で 堂寺さんのセミナーに出席。 セミナー後に別の研究室にいる腐れ縁と30分ほど面会。 夜は下北沢まで歩き、堂寺さんを囲んでイタリア料理を食べる。 業界の話題満載で、何を食べたのかよく覚えていない。
今週はひたすら人と喋っていたような気がする。 少し充電したい気分である。
筒井先生の短編「喪失の日」(新潮文庫、「メタモルフォセス群島」 に収録)は絶品。
朝から全部で3回のガイダンス。 A類3年生のガイダンスに行ったとき、なぜか邪頭研の三宅君 がいて、「ブラッド・メルドー、そんなにいいっすか? うまいだけじゃないっすか」などと突っ込んでくる。 今度ゆっくり話しましょう。
南大沢で研究室の新歓コンパ。 私が昨年度に3年生の学生実験を担当した時の学生が、 今年は4年生として研究室に配属されているわけだが、 その学生実験の時の私の指導がいい加減だったなどということが、 どうして彼らの口から出てくるのだろうか? 学生は教官の態度を敏感に察知するものだ。
それにしても朝の京王相模原線に乗っていた二人組みのおばはん の会話はうるさかった。 車内に下品な話し声が響き渡り、周囲の冷たい視線を しっかり集めていた。 私もよほど注意しようかと思ったほどである。
論文の手直しなど。
夜は新任教官を囲んでの親睦会。 こちらは初めてお会いするつもりで自己紹介したら、「ホームページ を見ています」と言われてぎょっとした。 さらに日記に書いた宗君のことまでご存知で、二重にびっくりした。
午後にオックスフォード大の菊池君のセミナー。 高分子のコイル・グロビュール転移における流体力学的効果 を計算機シミュレーションで調べるというもの。 流体効果があるとグロビュール状態へのダイナミクスが速くなり、 しかもコンフォーメイション変化の経路が異なるという主張。
イギリスでは修士課程がないので、大学を卒業してすぐに 三年間の博士課程に進学することになる。 オックスフォード大で博士二年の菊池君は、日本で言えば、 修士二年目に対応するわけだ。 色々な意味で彼のチャレンジ精神は立派だと思う。 そう思ったので、セミナーの議論ではやや厳しい突っ込みを いくつか入れてみた。
一方、計算機シミュレーションで何がわかるかということが、 最近、他人 の日記で議論されている。 このあたりのことは、菊池君も今後真剣に考える価値がある だろう。
みずほ銀行の不祥事で迷惑を被った人には怒られそうだが、 やはり人間のすることなのだから、もう少しおおらかな気分で 復旧を待つわけにはいかないのだろうか? あっ、私はみずほ銀行は使ってません。
いつもより早起きして、今年度最初の研究室ゼミ。 主に学生による学会報告など。 あと、私が主張していた、学生の係分担を決める。
午後からは化学科新入生のための履修ガイダンス。 新入生で満杯の会場は非常に暑かったので、一時間も説明した 後には喉がからからに渇いた。
夜はB類の新歓コンパに少し顔を出す。 ビールを飲んでしまったので、その後に仕事をする気は失せ、 研究室の人と一緒に、私と相性の悪いイタリアレストランで軽く 夕食をとる。
今日は一日中喋っていたようで、声がかれてしまった。 えらく疲れた。
正確な番組名は覚えていないが、NHK-BSの夜の放送で、 ノーベル賞受賞者や京大工学部の教授が新しい研究の着想を 得る状況や環境について話していた。 京大のある先生によると、だらだらとした上り坂を散歩するのが よろしいそうで、京都にはこうした地形が多いのが新しい研究を 生む土壌になっているとのこと。
研究がうまくいった時の快感を麻薬に例えていた先生がいたが、 「おいおいまさか本当に麻薬をやったわけではないでしょ」と 突っ込んだ人は多かったはず。 あと、着想の瞬間のイメージ図を何人かの先生にクレヨンで 描かせていたのは何とも変な企画。 臨死体験の説明でもあるまいし。
そういえば、南大沢駅から大学の研究室までの道のりも、どちらかと 言えばだらだらとした上り坂なのだが、南大沢に着く頃にはいい 加減疲れていて、新しいアイディアが生まれるどころではない。
今週は強風の日があったせいか、鼻炎が再発したので、 午前中に近所の耳鼻科へ行く。 処方された薬を服用したため、体がだるくなり、眠気が襲う。 どうも使い物にならない。
日記として面白いことは特になかったが、午後からは 会議があったり、夕方にかけて学生や共同研究者と打ち 合わせをする。 夜は共同研究者と南大沢のサイゼリヤで夕食。
Vine Linux 2.5はβ版ではあるが、なかなか良さそうである。 ただし、新しいアカウントの作り方がわからないという 間抜けな状態で行き詰まる。
入学式で大学は新入生やその父兄らで朝から華やいだ 雰囲気である。 午後には大学院生の入学式があり、その後、 化学専攻のカリキュラム委員としてガイダンスを行う。 と言っても、自分でもよくわかっているわけではない。 強風で吹き飛ばされそうになりながら、屋外で院生の 写真撮影をして終了。
ガイダンスが終わってから、研究室内での席替えや掃除。 新年度の体制を整える。
一晩寝て喉の痛みはとれたが、なんとなく体がだるい。 花粉症の再発か? 気候のせいもあるだろう。
一日、雑務王。
家族サービスをするつもりで休暇をとったが、昼から喉が痛くなり、 あまり気分がすぐれない。 風邪のひき始めだろう。
それでも、午後には小金井公園までドライブをして、夕方にかけて のんびりとした時間を過ごす。 平日ではあるが、春休みなので子供が多い。
行きの電車で久保先生の「ゴム弾性」(裳華房)、 帰りの電車で筒井先生の短編「走る取的」(新潮文庫、 「メタモルフォセス群島」に収録)を読む。
イスラエルのシャロンはどうしてここまでアラファトを物理的に 追い詰めるのだろうか? 考えられる理由としては
別の論文がほぼacceptされる。
1998年12月〜2000年3月: 不安なイスラエル日記