博士課程の試験。
今日は驚いた事があった。 大学を卒業してから一度も音信のなかった、ジャズ研の同期生から 突然メイルが届いたのである。 なんでも、ジャズ研(正確には軽音楽研究会)OBの名簿作成に協力して 欲しいとのことである。 医学という全く異なる分野に進んだ彼が、私の所在をつきとめてくれた ことが嬉しい。
彼とのメイルのやりとりの中でもう一つ驚愕したことがある。 ジャズ研で同じく同期であったドラムの宗修司君が昨年亡くなった ということである。 東大の農学部と医学部を卒業し、「渋さ知らず」や「SOH BAND」 などのバンドでドラマーとして、また精神科医としても一流を究めた彼を 知っている人も多いかと思う。
何をやっていても常にそのことが頭を離れず、やりきれない気分で一日 を過ごす。
昨日に行った化学熱力学の試験の出来はよくない。 1/3は落第であろう。
昨日と言えば、読みかけでしばらく放っておいた、 大槻ケンヂの「オーケンののほほん日記」(新潮文庫) を寝床の中で最後まで読む。 こうして自分の日記を出版するというのは、やはりすごい ことなのである。
新聞広告で気になっていた山藤章二の「全体重」を本屋で手に とってみた。 これまでのブラックアングルがすべて収録されているのであれば、 6000円出しても入手しようと意気込んでいたのだ。 しかし、実際には一部の傑作だけがカラーで、他はすべて大幅に 縮小された白黒ということで、一気に買う気を失ってしまった。 他人の余計なコメントもいただけない。
日記をこのようなことに利用するのは適切ではないかもしれないが、 これ以外の方法を思いつかないので、そうすることにする。
実は1月27日の晩に滋賀県在住の東レにお勤めの方から、一通の メイルをいただいた。 その方はわざわざ「コロイドの物理学」を読んだ上で、表面張力に 関する幾つかの基本的な問題を質問してこられた。
翌日以降に落ち着いてお返事しようと思っていたのだが、不覚にも そのメイルを削除してしまったらしいことに後で気付いた。 全く申し訳ない。 もしも、この日記をご覧になっていたら、是非もう一度メイルを お送りいただけるようお願い申し上げる。
一つだけ言い訳をさせていただければ、先週にきた大量の迷惑メイル のせいで、見知らぬ人からのメイルを条件反射的に削除する癖が ついてしまったのかもしれない。
と思っていたら、メイルは残っていました。 すみません。
午前も午後も研究室ゼミ。 来週の福岡出張の手配、物理学会の宿の申し込み。
自分の論文やら、他人の論文の査読やら、博士論文やら、 修士論文やら、学生が書いた予稿やら、翻訳やら、井上ひさしの 「私家版 日本語文法」(新潮文庫)やら、とにかく目を通さなけれ ばいけないものが山積みの、よりによってこんな忙しい時に新作を 出版されては困りますよ、筒井先生。 早速「愛のひだりがわ」(岩波書店)を買って、今お家でぺろぺろ舐めて います。
しかも今朝のテレビによると、筒井先生は昨日、新宿の紀伊国屋書店で 出版記念のサイン会をされていたそうですね。 残念無念!! 知っていれば、絶対にお目にかかっていたと思います。
娘と近所の駄菓子屋へ行く。 わずか3品(計100円)買うために30分も迷うあたりに、 早くも女性としての片鱗がうかがえる。 それにしてもこの駄菓子屋、クレジットカードでも支払いができる ようだが、そんな必要はあるのだろうか? 今日の発見はダイヤモンドカットのスーパーボールというものが 存在するということ。
井上ひさしの「自家製 文章読本」(新潮文庫)、終了。 私自身、この日記を書くようになってから、以前よりも日本語自体に 興味を持つようになったのは事実である。 ただし、そうなると一層、自分の文章のあらが目について情けなくなる。 そんな私を勇気付けてくれる一冊。
化学熱力学の講義の最終回。
午後は化学科の新任教官の講演会。 3名の講演が予定されている中で、私は2番目 の講演の座長を担当することになっていた。 最初の方の専門は有機合成で、OHPはすべて化学式 というまさに化学のメインストリームをいく(と思われる) 発表であった。 物理出の私にその内容が少しでも分かるはずがなく、直後の 座長を控えてかなりびびった。
幸い私が座長の時には聴衆からの質問がたくさん出て、 余計なことは言わなかった私は大恥をかかずに済んだ (と思われる)。 内容が物理化学に類するものであったことも救いであった。
講演会後の懇親会で計算機センターの先生と話していたら、 なぜかこの日記のことを口にされ、ひどく恥ずかしかったので、 慌てて話題を変えた。
学会の予稿を二つ仕上げ、引き続き来訪中の人と議論し、 補習授業をやったら一日が終わるのは当然か。 晩は知人と調布で密会食。
その人と互いの住所を交換する際に、私が最近買った電子 手帳に入力するのにこだわっていると、あっさりと「手で 書いた方が速いですね」と言われる。
一昨日に話題にした迷惑メイルがようやく来なくなった。 昨日から来訪中の人と研究の打ち合わせをしたり、 学生が書いた物理学会の予稿をチェックしたり、 会議に出席したりで、日記のネタは特にない。
私の所属する研究室に来年の4月から助手として着任予定の人 が都立大を来訪し、セミナーをしてもらう。 夜は南大沢駅に新しくできた居酒屋で懇親会。 そこに5時間も滞在したせいで飲み過ぎる。
その飲み会の場で、学生の一人が「好村先生は大学を早退して ジャズのライブに行っている」などと皆の前で主張している。 それに対して「精神衛生上、そういうことは必要だ」とわざわざ 弁護してくれたのは研究室の教授であり、改めて自分の恵まれた 職場環境に対する感謝の念が湧いてきた。
論文の査読。 夜間の化学熱力学の最終回。 来週は試験。
日曜日から意味不明の同一メイルが私のところに送られ続けて おり、すでに100通近くになっているため非常に頭にきている。 メイルのヘッダーを手掛かりに送り主を探し出すと、全く心当りの ないサイトに自分のアカウントを作ったことになっていて、 謎はますます深まるばかりである。 そのサイトにメイルを停止するように書き送るが、きちんとした 対応がない。
最近日記の更新が滞っていて、学生から「先生は最近、忙しいんですか?」 と尋ねられる。 あのね、先生はいつも忙しいけれど、この日記を書いているんですよ。
午後、研究室ゼミ。 学会の予稿を準備する。
世の中の受験生がセンター試験で苦しんでいたこの週末、 私がその時間の大半を吉祥寺と新宿の大塚家具の中で過ごしたという ことは、日記として書かざるを得ないだろう。 その理由を説明すると長くなるので省くことにする。 そういう日もあるということだ。
DVDソフトにはいろいろな規格があるということを今日初めて 知った。 昨日買ったナンシー・ウィルソンの輸入DVDが、自宅のプレイヤー で再生できないのだ。 なんとも間抜けな話ではあるが、CDでは絶対に起こらない問題なので、 疑うことさえしなかったのである。
ただし、今一つ不思議なのは、以前には再生できていた フィニアス・ニューボーンの輸入DVDまでも再生できなくなって しまったことである。 プレイヤーの扱い方が間違っているのかもしれない。 いずれにせよ、問題はこれら両方の輸入DVDの規格が明確に 記載されていないことである。
都内の大学で、同居人の学生時代の恩師の最終講義があると いうことで、私は早めに帰宅して子守りをする。 ちょうど昼寝をしてくれたので、仕事もできてラッキー。
実は一昨日に購入したm500の液晶画面のちらつきが非常に 気になったので、帰宅途中に本体だけヨドバシカメラに 持ち込んで店員に尋ねてみた。 その店員の話しによると、白黒画面の機種では同様のクレイムが 多いそうで、ある意味では白黒画面の宿命らしい。
その時には保証書もレシートも持っていなかったのだが、 希望すれば本体のみを別の新品に交換してくれるというので、 そうすることにした。 結果的には交換した製品にもやや画面のちらつきはあったので、 それほど大きな改善はなかったのだが、ヨドバシカメラ側の 性善説に基づく対応に気分を良くした1日であった。
「Mathematicaは必ずしも正しくない」というのが私の経験で あるが、皆さんはいかがだろうか? 例えば、以前は楕円関数のプロットがどうにもおかしかった ことを記憶している。
今回もある方程式の数値解が微妙に違う気がしたので、 ちゃんとプログラムを書いて数値計算したらやはり 間違っていた。 Mathematicaの結果は、大幅に間違っているわけでは ないところが曲者である。
とは言っても、私にとってMathematicaの恩恵は計り知れない ものがあり、やはりお世話にならないわけにはいかない。
最近は色々な予定が入ってきて、手帳だけではスケジュール管理が 難しくなってきた。 また、新しい手帳に替えることによる情報の散逸も問題だ。 などという、もっともらしい理由で電子手帳を購入することにした。
早速、帰宅途中で新宿のヨドバシカメラに立ち寄り、palmのm500 という製品を入手する。 すでに電子手帳を使いこなしている人のアドバイスによるものだ。 m500は価格も手頃になっているのが魅力である。
パソコンと同期させるためには最初にいくつか設定が必要で、 それをやろうとしたが、本日は時間切れ。 こんな余計なことをして却って忙しくなっている?
先週はいきなり出鼻をくじかれたため、今日は仕事の エンジンのかけ直し。
論文の査読が2本も舞い込んできて、まだ終わって いないものと合わせて全部で4本になってしまう。 とても全部に対応することはできないので、そのうち2本 は断ることにした。
それにしても、自分の論文を書く時間を削って他人の論文 を査読するというのは、どう考えても矛盾している。 いい論文にあたることは稀だし。
自分の人生の整理を始める気になったのかどうかは知らないが、 私の父親が昔の写真のネガやスライドを電子化したいと言い出したので、 自宅用のスキャナを買うことにする。 早速、近くのコジマで入手して、パソコンに接続してみる。 ついでにパソコンのメモリも増設しておく。
フィルムのネガをスキャンできるのは大変便利であるが、難点は時間が かかることだ。 最初は面白がってやっていても、すぐに飽きて嫌になってくるだろう。 その他で問題なのはファイル名のつけ方である。 膨大な画像ファイルの名前を、簡潔でしかも系統的に与える良い方法は ないだろうか?
やや力強さに欠けるものの、体調はかなり回復し、娘とビデオ屋に 行ったり、中野へハムスターを見に出かけた。 病後しばらくは、普通の食事や当たり前の日常生活が有難く思える ものである。
ほぼ2日間何も食べていないので、多少足元がふらつき ながら出勤し、化学熱力学の講義を行う。 今朝の時点で熱は下がっていたので、なんとか最後まで 授業を進めることができた。 ただし、学生に授業評価のアンケートをやらせて、 少し時間を稼いだというのは事実である。
駅などの階段を登りきったところで全身にどっと倦怠感が 広がるものの、3日ぶりにようやく自宅にたどり着く。 夜は少しまともなものを食べて、かなり落ち着いてくる。
朝一番で近所の内科へ行く。 ウイルス性の腸炎と診断され、薬をもらって午前中は休む。 昨晩よく眠れなかったので、少しうとうとする。
午後は遠藤氏のセミナーをアレンジしていたので、 どうしても外すことができず、セミナー直前に出勤。 セミナーだけ聞かせてもらって、すぐに下宿に戻る。
下痢は止まらない。
昼食直後から悪寒。 まずいと思い、すぐに下宿に戻って休もうとするが、 節節が痛んで眠れない。 急激な発熱。 夕方、嘔吐。 深夜、大下痢。
知人が都立大に来てくれたので、夕食を南大沢駅前の イタリア料理店に行った。 この店は最近オープンしたばかりということもあり、 店内は満席で少しの間待たされた。 私はパスタを注文したのだが、残念ながら油がきつ過ぎて、 私の好みに合わなかった。
どうしてこのような他愛のないこと書いているかというと、 この時食べたパスタの記憶がしばらく後を引くことになる からなのだ。
物理学会のシンポジウム講演の予稿で大いに苦しんでいる。 正直なところ、これまでは予稿集なんて誰も真剣に読まないだろう と高をくくっていた。 しかし、今回ばかりはシンポジウム全体の 責任者ということで適当な準備は許されないのだ。 しかも2ページ分書かねばならないのが辛い。
ド・ジャンやウィッテン、ゲルバートらがそれぞれ書いたソフトマター に関する総説を読み直して策を練る。 (ウィッテンの英文はごつごつしていて読みにくい。) 結局、予稿は1行も進まず。
それでも1月中のスケジュールはまだ比較的空いていたのだが、 今日になるとなんだかんだで埋まっていく。 こうしてどんどん研究時間がなくなっていき、やがて人生も終わる のだろう。 自分は一体何が残せるのだろうか?
マンデイ・ブルー。
昨年末は忙しくて娘の七五三をしてやることができなかった。 後れ馳せながら、ようやく今日になって荻窪の写真館に連れて行き、 着物を着せてあげた。 衣装はもちろんレンタルである。
普段はよく男の子に間違われる娘だが、一旦着物を着て化粧をすると、 なめくじに塩をかけたようにしおらしくなってしまうから不思議だ。 このような経験の蓄積によって精神構造が男と女に分化していくの かもしれない。
初出勤。 私と教授以外は誰も来ていない。 物理学会のシンポジウム関係の仕事をいくつかこなして、早めに 引き上げる。
本日の獲物。
昼、親戚来たる。
「グリーンマイル」が良かったので、トム・ハンクスの映画をもう 少し見たくなった。 さらに昨晩、NHK教育で放送していたスピルバーグのインタビュー にも刺激されて、「プライベート・ライアン」借りてくる。
映像、音声の現実感はすばらしい。 それだけに、戦闘シーンは刺激が強く、全体としてかなり長いので疲れる。 戦争をアメリカ側からしか描いておらず、ドイツ軍が常に悪役として 登場するのは問題。 スピルバーグは、ドイツ人は嫌いだが戦争は好きなのかもしれない。
同居人は友達との待ち合わせがあって、昼過ぎに新宿へ出かけて しまった。 ピットインでエルビン・ジョーンズの新春ライブを見ると いうのである。
子守り係の私は娘を連れて中野へ出かける。 中野サンプラザでは「モーニング娘。」のコンサートがあるようで、 追っかけが集結して異様な雰囲気だ。 娘にはブロードウェイの中にあるペットショップで、 ハムスターと子猫を見せて遊ばせる。 私が行こうと思っていた中古CD屋はまだ閉まっており、 当てが外れる。
帰宅して娘を昼寝させている間に、レンタルで借りてあった トム・ハンクス主演の「グリーンマイル」を鑑賞。 多少SFがかっているのは不満だが、白けるほどではなく、 全体としてなかなか面白かった。 重いテーマをうまく扱っていると思う。
帰宅した同居人の話によると、ケイコ・ジョーンズは観客に 糖尿病の治療法まで力説していたらしい。
車で30分の距離にある家内の実家へ新年の挨拶に出かける。 昼食後、近所の東伏見稲荷神社へ初詣に行く。 屋台が所狭しと立ち並び、大勢の人で賑わっている。
案の定、娘がお面を買いたいと言い出し、以前にピューロランド で400円のタンバリンを買ってやらずに後で学生に責めら れたことを思い出したものの、1個1000円という値段では 断念せざるを得なかった。
代わりに500円の綿飴を買い与えたが、その後、我々が 500円のたこ焼きを食べたので、結局は1000円の出費 になってしまう。 新年早々、みみっちい話題で失礼しました。
あけましておめでとうございます。 今年も本日記をよろしくお願いいたします。
餅を食べ過ぎて苦しかったということしか覚えていない、 極めて正月らしい一日であった。
1998年12月〜2000年3月: 不安なイスラエル日記